みなさんも、契約書に限らず、今までにもいろいろなシーンで、原本はともかくとして、副本?謄本?とこれらの表示に頭を悩ませてきたのではないでしょうか。今回は、これらの種別と契約書を作成する通数についてまとめます。
1.原本
原本とは、作成者が一定の内容を表示するため確定的なものとして最初に作成した文書をいいます。例えば、売買契約を締結する場合には、売買契約書を買主側と売主側で2通作成する場合には、それぞれが原本となります。
2.正本・副本
契約書の場合には、原本について主従関係を付けて保管する場合に、その一方を正本と、他方を副本と名付けることがあります。
3.謄本・抄本
謄本とは、原本の内容をそのまま写したもの(コピーしたもの)を指します。抄本は原本の一部を写したものです。
複数通数の契約書を作成すると、それぞれについて収入印紙が必要となりますが、謄本を利用することによって印紙税を軽減することができる場合があります。
4.注意点
契約書の後文で作成通数及び保有者を明記しますが、契約書を1通しか作成しなかった場合には契約書原本を保有する当事者による改ざん偽造が可能となります。そのため、原則的には契約書は当事者の数だけ作成するべきです。
ただ、3でも記載しましたが、印紙税は、契約の成立を証する文書原本に課されるため、原本を複数通作成した場合には、いずれの原本にも印紙税が課せられます。そこで、特に印紙税が高額になる場合には費用削減のために、契約書原本を1通だけ作成して契約当事者のいずれかが保有し、他の契約当事者には写し(契約書をそのままコピーしただけのものであることが必要です。)を交付するという方法がとられる場合もあります。この場合は、なるべく証明力の高い原本の方を自ら保有するようにしましょう。
写しを交付される側が、写しの証明力を高めようとするのであれば、原本を保有する側の契約当事者が「この写しは原本と相違ないことを証明する」旨を手書きで記載するという方法もありますが、このような認証文言を記載すると、契約の成立等を証明するものとしえ課税文書に該当し、収入印紙の貼付が必要になります。