共同研究契約書の意義

共同研究は、産学連携などの形で、大学などの教育機関と民間機関等の研究者が、契約に基づき、対等の立場で共通の課題について研究に取り組むことにより、優れた研究成果が生まれることを促進する制度です。共同研究契約書は、その契約締結の際に作成される契約書です。

※産学連携とは、新技術の研究開発や、新事業の創出を図ることを目的として、大学などの教育機関・研究機関と民間企業が連携することをいいます。政府・地方公共団体などの「官」を加えて、「産学官連携」「産官学連携」ともいいます。

共同研究契約書を作成するうえで必要な項目
1.共同研究の目的・内容・役割分担

内容が多量になる場合は、別紙の形式でまとめてもOKです。目的が達成できなかった場合の責任追及の際には、目的・内容・役割分担に関する事前の合意に違反がなかったかという観点から当事者の帰責性を判断することもあり、可能な限り明確に規定しましょう。

2.共同研究体制について

共同研究においては、その遂行のための設備や人材に着目がなされている場合もあり、当初の合意と異なる設備や担当者で研究を実施する場合にはトラブル原因となり得ます。できる限り研究体制を明示しておきましょう。

3.費用負担

研究費用について、自己負担ではなく、相手方に費用負担を求める方が有利となり、可能であれば明確に定めましょう。

4.秘密保持条項

共同研究の場合は、双方のノウハウ開示や人的交流に伴う情報の共有を伴う場合が多く、秘密保持は徹底して管理していく必要があります。場合によっては、別途秘密保持契約書を作成し、別途で契約を締結することも検討してください。

5.研究成果の取り扱い

共同研究で、成果の公表を拙速に行うと、特許等の出願との関係で、新規性を喪失してしまうこともあります。少なくとも相手方が知らないうちに公表してしまわないように配慮しましょう。

6.成果の帰属・実施方法

共同研究の成果を含む知的財産権の帰属を定めます。費用負担に差があったり、基礎となる技術の提供を一方が行った場合など、成果に対する貢献度が異なる場合には、持分比率を変えたり、持分を均等に、と定める事もできます。

7.出願費用について

特許等の出願費用についてもトラブル防止のため、明示しておきましょう。