債務承認弁済契約書の意義

債務承認弁済契約とは?

既に発生している債務について、その債務を承認したうえで、弁済を約する契約です。

既存の債務は、売買契約、金銭消費貸借契約などの既存の契約関係から発生したものだけでなく、不法行為に基づく損害賠償債務などの契約関係以外の事由により発生した債務でも債務承認弁済契約は有効です。

例えば、AさんがBさんに、数回にわたりお金を貸したとします。しかし、今までに貸した金額が高額になってきたので、その数回分すべての債権につき、当事者間の権利関係を改めて文書で残しておこうとするような場合が考えられます。また、債務承認弁済契約は、既存債務についての弁済契約であるため、契約書にする場合には、その既存債務を特定しておくことが必要です。

なお、債務承認弁済契約は既存債務を前提としていますので、原契約が成立した後でなければ成立しませんが、原契約の直後であれば、原契約とは別に契約を締結することが出来ます。また、債務承認弁済契約は、既存の債務を承認するものであり、これにより当該債権は時効が中断されますが、これによりそれまでの債務の性質が変わるものではありませんので既存の債務が、商行為による貸金債権の場合は5年、一般の場合は10年の消滅時効期間は変わりません。

この契約書を強制執行認諾条項付公正証書にした場合、裁判手続を経ることなく強制執行手続を執ることが可能です。一般には、カードローン会社やリース会社が債権保全のために、この契約をよく利用しているのではないかと思われます。

債務承認弁済契約書のを作成するうえで必要な項目
  • 当事者(債権者と債務者)
  • 債務の特定
  • 弁済期の定め
  • 利息・遅延損害金の定め
  • 期限の利益について
  • 保証人・抵当権設定など特約事項

金銭債務に関しては契約書の存在が命です。口約束が数件あるなどの事情がある場合は、債務承認弁済契約書を作成し、契約を交わすことが必要です。

なお、消費貸借契約書同様、借用書という名前で括られることもあります。