寄託契約書の意義

寄託 <民法 第657条>

寄託は、当事者の一方が相手方のために保管をすることを約してある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

寄託契約とは、ある物を保管する人(受寄者)が、保管してもらう人(寄託者)に対して、寄託者のために保管することを約束し、寄託者からその物を受け取ることによって成立する契約です。簡単に言うと、物の保管契約のことです。

銀行などのの預貯金も、金銭という物を預金者のために銀行が保管する寄託契約ですが、金銭を銀行が自由に使うことができ、その代わりに同じ金額を返せばよいというものであり、消費寄託契約と呼ばれる特殊な寄託契約です。

なお、寄託契約は、寄託者のために保管する契約なので、自分のために保管する場合は寄託契約とはいえません。

寄託契約の性質
  • 原則として受寄者だけが保管義務を負い、寄託者は義務を負いません。(片務契約
  • 保管手数料等を取り決めない限り、原則として無償であるとされています。(無償契約
  • 受寄者が保管を約束しただけでは成立せず、それとともに受寄者が寄託者から寄託の目的物を受け取ることによって成立します。(要物契約
寄託契約書を作成するうえで必要な項目
1.寄託物を引き渡したこと
2.保管場所
3.保管料に含まれる費用関係

搬入搬出費用が保管料に含まれるのかを明記することで、搬入出費等の扱いによるトラブルが回避できます。

4.受託者の注意義務の程度、内容
5.受託者の通知義務

寄託者側からの視点として、寄託物の破損、損失、差押え等の場合に受託者の通知義務を明記しましょう。

6.受託者の寄託者に対する損害賠償責任の要件

受託者の過失の立証責任を明記しない場合は、寄託者が受託者の過失を立証しなければなりません。過失の立証の難度を考慮して、規定に盛り込みましょう。

7.寄託物について付保する場合についての費用負担

火災保険などの費用を受託者が負担するといった内容の規定です。

8.契約期間満了後寄託物が引き上げられない場合の対応

契約期間満了後も寄託者が寄託物を引き揚げないといった場合、受託者は任意で売却し、そこから保管料や損害金を充当できるというような規定を設けましょう。