訪問販売契約書の意義

訪問販売

「訪問販売」について、特定商取引法での定義は、消費者の自宅での訪問勧誘だけでは無く、かなり幅広い範囲が定められています。例えば、短期間、展示場で行う実演販売や、ダイレクトメールなどで消費者を集めてセミナーなどで販売をするのも、特定商取引法では「訪問販売」にあたり、契約書の交付義務やクーリングオフに応じる義務などの規制を受けます。

一方、特定商取引法で「店舗販売」とみなされるためには、以下の3つの要件を全て満たす必要があります。(同法第2条および通達等)

  • 3日以上の期間に渡り営業していること
  • 消費者が陳列された商品を自由に選択できる状態であること
  • レジ等の販売設備を有する施設で販売をすること

この全てを満たさなければ、「訪問販売」の規制を受けることになり、訪問販売用の契約書を消費者に交付する義務が生じることになります。

また、訪問販売の契約書面には以下の事項を漏れが無いように記載しなくてはなりません。

<契約書面の記載義務事項>
  • 商品(権利・サービス)の種類
  • 商品(権利・サービス)の価格
  • クーリングオフに関する事項
  • 事業者の名称、住所、電話番号、代表者氏名
  • 契約担当者の氏名
  • 契約を締結した日付
  • 商品の名称、商標、製造者名
  • 商品の形式があるときは、その型番
  • 商品の数量
  • 瑕疵担保責任の特約があれば、その内容
  • 契約解除の特約があれば、その内容
  • その他に特約があれば、その内容
契約書に記載すべきクーリングオフに関する概要
<クーリングオフに関する法定記載事項の概要>
  1. 訪問販売に該当する取引については、契約書面の交付日から起算して8日以内に、消費者が書面により契約の解除の趣旨を事業者に通知した場合は、その通知書面を発送した日(発信主義)をもってクーリングオフによる契約解除が成立すること。(事業者が契約書面を交付していない場合や契約書の重要事項に不備があった場合は、クーリングオフの起算日は進行せず、8日間経過後もクーリングオフが可能)
  2. 事業者が消費者に対して、虚偽の説明をしたり、威迫して困惑させクーリングオフを妨害した場合は、法定期間の8日間が経過した以降であってもクーリングオフができること。
  3. クーリングオフ妨害があった場合は、特定商取引法の附則に定められた様式のクーリングオフ妨害の解消のための書面を事業者が交付し、その交付日から8日間はクーリングオフが可能であること。
  4. クーリングオフにより契約解除となった場合は、事業者は消費者に対して違約金や損害賠償金などの請求ができないこと。
  5. クーリングオフによる商品の返品送料など原状回復に要する費用は事業者が負担する義務を負うこと。
  6. クーリングオフ期間中に消費者が商品を使用して利益を得た場合でも、その契約がクーリングオフされたときには、事業者は商品の使用済み分の料金を請求することはできないこと。(クーリングオフ期間中の商品使用による価値減耗分については、その損失は事業者が負担)