OEM契約書の意義
OEM契約とは
OEMは Original Equipment Manufacturing/Manufacturer の略であり、納入先ブランドによる製品を、納入先である製造委託者の注文により、メーカーが納入先ブランドの製品を製造すること、またはある企業がメーカーに対して自社ブランド製品の製造を委託することです。
OEM契約書においては、製造委託者が指定する商標・商号・その他の表示を、製造受託者は製品やその梱包材等に付することを定めます。
OEM契約書の作成において必要な項目
- 製造委託者と製造受託者
- 商標・商号の取り扱い
- 製品・納入形態
- 製造物責任
- 下請法の有無を考慮
- アフターサービス
- 知的財産権の取り扱い
- 損害賠償についての取り決め
- 秘密保持に関する取り決め
<製造物責任>
OEMの場合、製品には製造委託者の商標・商号等が付されており、製造委託者は自社の製品として販売するので、通常、製造委託者は少なくとも製造物責任法における表示製造者に該当し、「製造業者等」に含まれ、通常の製造業者と同じく製造物責任を負うことになります。
<下請法に基づく規制>
下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)の特別法です。親事業者と下請事業者との間の取引を公正にし、下請事業者の利益を保護することを内容とする法律です。
OEM契約を締結する当事者間の取引に、強行法規である下請法が適用される場合があります。下請法によって、親事業者による下請事業者に対する優越的地位の濫用行為が取り締まられます。 例えば、下請事業者に責任がないのに、親事業者が発注後に下請代金の額を減額することは禁じられています。また当事者間で発注後に一定金額を下請代金から差し引くことで合意していても、下請法違反になります。 親事業者の事務手続の遅れや、下請事業者から請求書が提出されていないことを理由に、下請代金の支払日を遅らせることも認められません。
<アフターサービス>
製品のアフターサービスを製造委託者と製造受託者のどちらが行うかは、OEM契約で取り決めておく必要があります。 また、製品の補修用の部品をどちらの負担でどれだけの期間保有しておくかについても取り決めて、OEM契約書に記載しておいた方が良いでしょう。
<知的財産権の取扱いについて>
OEMにおいては、製造委託者と製造受託者の間で、双方の知的財産(特許、実用新案、著作権など)が相互に開示され利用されるケースが多くなります。 その場合は、知的財産の帰属などについて契約で取り決めておく必要があります。また、秘密保持に関する取り決めもあわせて行います。