フランチャイズ契約書の意義

フランチャイズ契約とは?

フランチャイズシステムの定義は様々ですが、一般的には、本部が加盟者に対して、特定の商標、商号等を使用する権利を与えるとともに、加盟者の物品販売、サービス提供、その他の事業・経営について統一的な方法で統制・指導・援助を行い、これらの対価として加盟者が本部に金銭(加盟金・ロイヤルティ)を支払う事業形態です。

フランチャイズ契約書で定める内容

フランチャイズ契約書の項目として必要なのは、

  • フランチャイズチェーン本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)
  • どんな商品を売るのか
  • 商標・商号の使用について
  • 経営指導、広告宣伝など
  • 加盟金・ロイヤルティの支払いについて
  • 加盟者がすべきこと
  • 仕入れや手配、注文に関すること
  • 競業避止義務
  • 損害賠償の額の決め方
  • 契約期間
  • 解除・中途解約について

などです。もちろん、業務の内容によっても変わります。

フランチャイズ契約にあたって

近年では、コンビニなど様々な分野でフランチャイズ事業は大きな伸びをみせています。実際に自営業者のみならず、定年退職後にフランチャイズチェーンに加盟して事業を始める人も増えています。しかし一方で、加盟店とフランチャイズチェーン本部との間では以下のようなトラブルが生じることが多くなっています。

  • 加盟契約前に申込金を支払ったが、返還に応じてくれない。
  • 経営がうまくいかなかったので解約を申し出たら、違約金を請求された。
  • 近隣に新たな加盟店ができ、どうしたらよいか分からない。

フランチャイズ契約締結時に提供すべき情報

フランチャイズ契約は、チェーン本部があらかじめ用意したフランチャイズ契約書に加盟店が受容し、締結されます。ただ、特定連鎖化事業(小売・飲食のフランチャイズチェーン)においては、チェーン本部は契約の際に、事業概要や契約の主な内容等についての情報を、チェーンに加盟しようとする方に対して契約締結前に書面で示し、説明しなければならないことが中小小売商業振興法にて定められています。尚、事前に開示すべき22項目は下の通りです。

フランチャイズ契約書を作成するときは、これらすべてをフランチャイズ契約書の項目に入れなければならない訳ではなく、契約書に資料を添付する形で提示するのが望ましいでしょう。

本部事業者の氏名及び住所、従業員数
本部事業者の資本の額または出資の総額及び主要株主の氏名または名称、他に事業を行っているときは、その種類
子会社の名称及び事業の種類
本部事業者の直近三事業年度の貸借対照表及び損益計算書
特定連鎖化事業の開始時期
直近の三事業年度における加盟社の店舗の数の推移
直近の五事業年度において、フランチャイズ契約に関する訴訟の件数
営業期間・営業日及び休業日
本部事業者が加盟店の店舗の周辺の地域に同一または類似の店舗を営業または他人に営業させる旨の規定の有無及びその内容
10 契約終了後、他の特定連鎖化事業への加盟禁止、類似事業への就業制限その他加盟者が営業禁止または制限される規定の有無及びその内容
11 契約期間中・契約終了後、当該特定連鎖化事業について知りえた情報の開示を禁止または制限する規定の有無及びその内容
12 加盟者から定期的に徴収する金銭に関する事項
13 加盟者から定期的に売上金の全部または一部を送金させる場合はその時期及び方法
14 加盟者に対する金銭の貸付または貸し付けのあっせんを行う場合は、それにかかる利率または算定方法およびその他の条件
15 加盟者との一定期間の取引により生ずる債権債務の相殺によって発生する残額の全部または一部に対して利率を附する場合は、利息にかかる利率または算定方法その他の条件
16 加盟者に対する特別義務
17 契約に違反した場合に生じる金銭の支払いその他義務の内容
18 加盟に際し徴収する金銭に関する事項
19 加盟者に対する商品の販売条件に関する事項
20 経営の指導に関する事項
21 使用される商標、商号その他の表示
22 契約の期間並びに契約の更新及び解除に関する事項
独占禁止法に基づく情報の開示

公正取引委員会では、独占禁止法に基づき「フライチャイズ・システムに関する独占禁止法の考え方について」というガイドラインを公表し、契約前に開示することが望ましい項目を示しています。こちらは小売・飲食のみならずすべての業種のフランチャイズチェーンに関して適用されますので注意が必要です。