準婚姻契約書の意義
準婚姻契約とは
法的に婚姻が成立するためには
- 婚姻の意志
- 婚姻の届出
が必要となります。
そのため、準婚姻契約は婚姻の届出をしない、または事情があってできない場合に締結されます。人によって様々な事情があると思いますが、下記のケースで、準婚姻契約書を作成し、契約することで、婚姻関係と同等かそれに近い条件にすることができます。
事実婚(内縁)
内縁は、実質的には夫婦関係にありながら、婚姻の届出をしていないために法律上の夫婦とは認められない男女関係とされています。この場合は、実質的には夫婦関係にありますので、準婚姻契約を締結しなくても法律上の婚姻で認められる権利とほぼ同様の権利義務を持ちます。
- 同居・扶養の義務
- 婚姻費用の分担
- 内縁関係解消時の財産分与
- 内縁解消時の慰謝料請求
- 子どもがいる場合は認知をしてもらった上での養育費請求
準婚姻契約を締結していなくても、これらの権利義務が認められていますが、事実婚における準婚姻契約は、これらの事項に加えて様々な内容を具体的に定めることを目的とします。
同棲
同棲とは、一つの家に一緒に住むことです。一般的には共同生活を送っているものの、事実婚状態には至っていないことを指し、ここでもその例に従うものとします。
同棲状態か事実婚状態かは、
- 双方の意思
- 同居期間の長さ
- 挙式等の形式的事情
等から総合的に判断されます。
同棲の場合に締結する準婚姻契約は、事実婚の場合と異なり、法律的には単純な契約に近い性質が出てきます。内縁や婚姻で認められる法律的内容について契約として締結しなければ認められないため、その辺りを具体的に定めます。
同姓婚
現在、日本において、一緒に生活している同性カップルには、異性カップルの婚姻や事実婚で認められている法的保障(健康保険、年金、税法上の優遇措置など)がありません。同性婚を事実婚と同視するかについても法律がありません。同居の期間や生活形態なども合わせて総合的に判断して事実婚の考え方を類推します。
準婚姻契約書の作成に当たっては、同棲のケースのように、婚姻で認められている効力、その他事項について具体的に定めていくことになります。
準婚姻と婚姻の違い
準婚姻契約を締結していなくても事実婚(内縁)状態にあれば夫婦と同様の権利義務が発生します。しかし、もっとも大きな違いとして挙げられるのは、相続権が発生しないことでしょう。その点について対応するためには、準婚姻契約書に、相続(遺贈など)の規定を盛り込んで作成すると良いでしょう。
準婚姻契約の効力
準婚姻契約も契約ですので、一般的な契約と同様に定めた内容に従って効力が生じます。しかし、違法な内容を定めれば認められません。準婚姻契約で定めたい内容を具体的に記載することも重要ですが、定めた規定の効力についても理解を深めておくことが重要です。